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だましだまし人生を生きよう (新潮文庫)
池田 清彦発売日:2008-12-20
登録ユーザー:1user
カテゴリ:本
新潮社
定価 ¥420
amazon価格¥420 中古価格 ¥169 から
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EXPOレビュー
amazonでのレビュー
レビュー数 4件自分の趣味で泣いたことがあるか?/ウェブ担当 ★★★★
小さい頃から虫が好きで、昆虫採集に没頭してゆく著者、
池田清彦さんの自伝『生物学者』を改題したもの。
人との出逢い、虫との巡り逢い、そして、別れ・・・
自分が入れ込んだ趣味やライフワークがあるとして、
それは、楽しいから、面白いから、興味があるからという、
なんとも理屈では説明できない感情で接しているし、接していたと思う。
後でやろうと思っていたコト、心底挑戦してみたかったこと、
先延ばしにしておいた愉しみ、本当に好きだったモノ・・・
本書を読むと、それらを、今スグに始めたくなる。
科学者を例に出し、タコツボ化を危惧するが、
これは、専門職に置き換えられる話でもある。
ジャンルを越えた繋がりを持つことや、自己PRが必要なことも。
文中に、頻繁に出てくる言葉。
「人生は短い。忙しくしているヒマはない」
仕事が忙しいのはイイことじゃない? 多忙って、なんか格好良くない?
そーじゃない。 "忙しい"という字が、
"心を亡くす"と書かれているように、
忙殺されている時間など、微塵も無いんだよ! ということ。
前半は虫採りとデモに明け暮れた学生時代中心で、後半は学者の卵だった頃から構造主義生物学と格闘しつつ一人前の学者になるまでの過程や独自の科学観が語られる。あまり内面について語られてないせいか、全編にわたってカラッとした語り口なのが池田さんらしい。珍しい虫あれば北海道へも沖縄へも飛んで行き、好きな女の子が出来たら(彼氏がいるにも関わらず)口説き続けてその年に結婚の約束をさせ(今の奥さんだそうです)、息子が高校・大学に通っていても説得して休学させ、家族連れてオーストラリアへ1年滞在と、その迷いのない行動力は笑えるぐらいに清々しい。子供の時からずっと直に自然のサイクルに触れていること、詩や哲学などへの幅広い趣味・興味。それが池田さんの自由な思考力を育てたのかも、などと思えた。
加藤周一さんの自伝に『羊の歌』というのがあるが、本書はさしずめ池田清彦の『カミキリムシの歌』って感じか。
その著作の何かを読む度にいつも新たな知見を教えられる池田清彦氏のいわば自叙伝。昆虫少年の時代からはじまり構造主義生物学に至るまでの氏の歩みが率直に描かれており、大変面白かった。(当方の愛読書である『ほんの話』の著者白上謙一氏の名前が出てくるのも嬉しい(92頁)。)
本書により、構造主義生物学(反ネオダーウィニズム)の視点についてはとりあえず、(1)「ルールの恣意性」こそが基本ルール(突然変異と自然選択という絶対的なルールには還元できない)、(2)大進化を惹起するのはDNA情報を解読する細胞内「解釈系」=体内システムの変化(DNAを変えてやれば確かに形は変わるが、種の枠組みを超えるような大進化は起きない)、(3)従い、種分岐は基本的に「多分岐、同所的」といった点を学ばせて頂きました。
「本当の学際研究をやるためには、狭い専門にとらわれず、ひとりで文科から理科まである程度理解している学者の集団が必要なのである」(184頁)。即ち、今日の社会では「科学が対象とするものは人間抜きの自然ではなく、人間の活動込みの自然」(209頁)である以上、もはや前者のような要素還元主義は通用せず、全体最適のために「どのような組み合わせの解決法がもっとも有効かを考えられるような知性でなければならない」(同頁)。
本書は「仕事発見シリーズ 生物学者」というタイトルで実業之日本社から97年に出版されたものを新潮社が文庫化したもの。
「だましだまし生きよう」はタイトルが全く本書につながっておらず、なぜこのタイトルなのかと思った。こちらは、生物学者とはどういう仕事をしているのかを中・高校生向けに語ったものである。タイトルだけ見ると、中高生は手にとらないだろうけど、是非中高生に手に取って欲しい。大人になっても子供のように虫とりをする池田先生がのぞけますよ。




